この自己紹介はベルばら、オル窓に関して語ることで“雪”という人物の断片を判断していただくものです。
要は思いの丈を熱く語りてぇ! ということですので、お暇な方はお付き合いください。(ネタばれ注意!!) 


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『ベルサイユのばら』と出会いは私がまだ保育所に通っていた頃だった。

 雑誌の連載は、私の母が独身の頃毎週立ち読んでいたそうだ。となれば当然私はこの世に存在すらしていない。アニメが放映されたころは物心もついていなかった。(おまけに田舎なので放映すらされていなかった)
 私が『ベルばら』を読んだのは偶然だった。
 偶然、母方の実家に単行本が何冊かあったのだ。それが誰のものなのかわからないが、何故かあったのだ(母のものではないらしい)。今となっては行方知れずになってしまったこのコミックス達は、文字を読み始めた子供には格好の標的だった。
 絵が綺麗で平仮名も多く、なんといってもビラビラドレスのお姫様が出てくる。体に風呂敷を巻きつけて「ドレス〜」とかなんとか言って喜んでいる子供に、読んでくれと言わんばかりの漫画ではないか。

 そして私はフランスがどこに位置しているのかも知らずに『ベルばら』を読み始めたのだ。
   当たり前だが解らない言葉は沢山出てくるし、ビラビラドレスのお姫様は民衆を苦しめる人だし、おまけに5巻と7巻と9・10巻が抜けている。
 しかしそれでものめり込むように読んだ。母の実家に遊びにいくたびにずっと読んでいた。そう、それは俗に“はまる”と呼ばれる状態だった。

『ベルサイユのばら』は私が生まれて初めて“はまった”漫画なのだ。

 その後小学生になった私は、これまた生まれて初めて自力でお金を貯め(お年玉など)、自宅から電車で1時間かかる、街の大きな本屋さんへ連れていってもらい、全巻まとめ買いを果したのだ。
 解らなかった言葉も少しずつ解るようになってきた。それでも解らない時は人に聞いた……まさか祖父も小学生の孫に「ばいしゅんふってなあに?」と訊かれるなんて想像もしていなかっただろう。

 そして私が小学3年生に上がった頃、またもや母方の実家に面白そうな漫画本が現れた。叔母の所有していた『オルフェウスの窓』である。

 あの『ベルサイユのばら』を描いた人の漫画だぁ! しかもまたもや男装の麗人! もう読むしかないのである。
 これもまた1〜8巻、18巻のみ、と大幅に抜けているものであったがむさぼるように読みつづけた。叔母から「イザークってロベルタと結婚するのよ」と第1部だけでは想像もつかないようなことを吹きこまれ、やきもきやきもきしたものである。
 その後高校に進学した私は図書館の住人となった。
 図書館に『オルフェウスの窓』愛蔵版全4巻が揃っていたからだ!(それにしてもどんな高校だ)
 毎朝図書委員の仕事と称して図書館へ行き、繰り返し繰り返し読み、ロベルタが死んでしまうシーンでは何度も必死で涙をこらえた。

 年月は過ぎ行き、『ベルばら』『オル窓』好きの子供は何故か理系大学生になった。フランス革命だけ異常に詳しかった小学生の頃の夢は「教育学部に行って歴史の先生になる!」だったのに……。大学時代は両作品を“小さい頃から大好きだった漫画”というポジションに置き、昔の情熱は冷めたかに見えた。

 しかし幼少時の摺り込みは強力である。

 大学院生となった現在。『オルフェウスの窓』文庫版を全巻購入を機に過去の情熱が甦ってしまったのである。
「恋は麻疹に似ている。大人になってからかかると、重症になる」
 という有名な言葉にあるとおり、大人になってからのハマリ直しは重症である。昔は持っていなかった経済力。昔は持っていなかったパロディという概念。昔は持っていなかった表現技術。そして、昔は持っていなかったインターネット。
 かくして私はファンサイトの存在を知った。楽しい。面白い。……悪魔が囁く。
「ファンサイト、作ってみたら?」

 悪魔の囁きに敗れた私は、修論が迫っている身にも関わらずこのサイトを立ち上げてしまったのだ。 

――続く




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