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“好みのタイプ”は人間の内面をあらわす一端となる。そこで私がこれまで好きになった池田作品以外のフィクションの登場人物達を列挙してみよう。
・南雲しのぶ&後藤喜一(機動警察パトレイバー)
・マリア&エドガー(VICE)
・スカリー&モルダー(X-FILE)
・フレデリカ&ヤン・ウェンリー(銀河英雄伝説)
私が好きになるキャラクターにはある一定の傾向がある。
女性は「強く、優しく、意地っ張り」。男性は「一見昼行灯、実は剃刀」。(モルダーが本当に剃刀かどうかは疑問だが……)
尚且つ、“職業意識の高い人”というのがポイントでもある。プロ意識を持って仕事に励むのだが、筋の通らない命令は自分の裁量でぶった切る。一本芯の通った生き方があらわれているキャラクターが好きなのだ。
さて。
ここまで考えてはたと立ち止まった。
強く優しく意地っ張りで、プロ根性があり、命令を自らぶった切り、筋の通った生き方をする女性……。
それってまんまオスカルじゃないか!
ベルばら熱が再発するまで、私は作中のどの人物が一番好きかを考えた事がなかった。皆それぞれ個性があり、それが魅力的だったから、“一番”を考える事はなかったのだ。しかし改めて“一番”を考え、また他の作品の好みの傾向と照らし合わせてみると……オスカルだったのである。
『ベルばら』は1で言った通り生まれて初めてはまった作品であるから、上記のキャラクター達が出てくる作品を読んだ(観た)のは当然『ベルばら』よりも後である。ということは。
私の好みのベースを作ったのはオスカルということなのだ。
この事実に10年以上気が付いていなかったため、この結論に達した時の衝撃はかなり大きかった。三つ子の魂百まで。おそるべし『ベルサイユのばら』。
それでは男性キャラクターの好みはどうだろう。アンドレが好みのベース? まさか! 彼は「昼行灯」ではない。そこで記憶を遡り、初めて好きになった「実は剃刀」タイプを検索してみると……
いたよ。ダーヴィトだ。
『オル窓』を読んだ頃はもう小学生になっていたので、ある程度好みだとか自我がハッキリしていたと思う。そんな自分が選んだのがダーヴィトだったのだ(職業不祥の彼にプロ意識があるかどうかは分からないが、切れ者っぷりがツボなのだ)。
更に考えるならば、「強く優しく意地っ張り」な女性とコンビの「実は剃刀」タイプが好きであることが上記キャラクター達からも分かる。マリア・バルバラはこの女性のタイプにぴったり当てはまっているのだ。即ちこの手のカップリングを好きになったのもオル窓が初めて。……雀百まで踊り忘れず。恐るべし『オルフェウスの窓』。
――続く