湯けむり旅情サスペンス。
白骨温泉血の惨劇!美人姉妹に迫る危険な罠!
新人ADと若手作家が事件に乗り出す!
名探偵登場!……それは“操り人形”の夜から始まった。



副音声:オフィス街。若い男女が何か話ながら歩いている

「ねぇねぇ、冬の温泉に行ってみたくない?」
「いいね。混浴露天があれば尚最高」
「……ちょっとぉ、なに考えてんのよ?」
「ははは、冗談冗談。おっとぉ! 鞄振り回すなよぉ」
「もう! 知らない!」

 えー、2時間サスペンスの導入としてはこんな感じで。因みに今回のタイトル、「呟き」史上最長です。閑話休題。

 かねてから私立おばQ騎士団の掲示板上で持ちあがっていた「ReadMe!に登録して凹もう会」のオフ会が遂に開催された。
 目的地は白骨温泉。混浴露天で親交を深め、旅館の料理に舌鼓を打ちつつ酒宴。さぁ、初対面同士が仲良くなった所でゲームでもしつつ冬の温泉休暇を満喫しよう!
 ところが。

「さぁ〜、じゃあ出発!」

 僕(美人姉妹、妹)の運転する車に乗っているのは……金沢から来たsummer(美人姉妹、姉)。愛媛から来た田嶋屋様(新人AD)。そして来られなくなったK2様の代りに急遽連行された和佐野様(若手作家)。

……顔なじみばっかり。

 しかもReadMe!に登録してるの田嶋屋様だけじゃん。
 波乱含みの旅立ちである。

(実は一番波乱だったのが出発までだった。SF研の追いコンにsummerを連れてきたという非常識さもさることながら、“酒を飲んだ”雪桜冬輝様を白骨に誘った所、「いきますよ〜! 金ぇ? 全然おっけーすよ!」と頼もしい答が返って来た。そして翌日、佑人様のところに泊めて頂いていた雪&summer。10時に田嶋屋様から電話を貰いサークルBOXに迎えに行ったらば、田嶋屋様は徹マン明けだった。コンディション最悪なのは言うまでもない。冬輝様に電話をかけると「……無理っス。二日酔いが……それに、お金もなくて……」と途切れ途切れの声。あんた、昨日の太鼓判はなんだったんだ。そこで急遽同じく徹マン明けの和佐野様を連行することになった。彼も白骨に行く体力が残っているかどうか、ギリギリの線だった。しかし、計画は速やかに実行されなければならない。「洗濯してないからパンツがない」と言う和佐野様に「コンビニで買おう!」と無理矢理車に乗っけたのである。ここまで読んでくれた方、有難う、お疲れ様でした)

 そして波乱は旅館「ゑびすや」に到着してからも起こった。

「嘘吐きィィ!!!」

柵の向こうから和佐野様の叫びが聞こえた。あー、イイお湯だ。傾きかけた日に染まる山が美しい。雪の白骨もイイなぁ……。
「ごめん。昔はここ混浴露天だったの」
「うーそーつーきーぃー」
そう、混浴露天の甘い囁きに連れてこられた和佐野様。入ってみたら、むかしは繋がっていた男湯と女湯の露天風呂の間に柵が出来ている。何のために徹マン明けの体に鞭打ってここまで来たのか。彼の叫びは血を吐くかのごとくだった……(ここら辺が血の惨劇)。

 さてお風呂に入ったら各自部屋で夕食までのんびりする。8時になったので田嶋屋様と和佐野様の部屋へ迎えに行ったら

ばったりと倒れ伏した二人の変わり果てた姿が!!

「おーい、起きてー。ご飯だよー」
「う……ああー、起きるー」
 二人の疲労は頂点のようである。食事中もなにやら元気がない。
「このままご飯終わったら寝る?」
「そんな! ここまできたら全力で休養せな!」
「あー……休養できる体力残しとくんだったー」
 ……アンタら、それはなんか矛盾してるぞ。

 そして食後。
 和佐野様が持ってきてくれた「操り人形」というカードゲームをやる(ここら辺が“操り人形”の夜)。巧みな駆け引きと心理戦的展開が面白いゲームだ。……やっている内に皆無口になってくる。重苦しい空気の中、ものすごい淡々とゲームが進む。つうか、ウチら疲れてるんじゃないの?
 しかしそれでも「TRICK2」を観終わる時間まで遊ぶ。ゾ〜〜〜ンの力は偉大だ。

 流石に1回だけしかお風呂に入っていないのは勿体無い、と言ってsummerと田嶋屋様、和佐野様は深夜2時の温泉を楽しみに行く。僕は風邪が酷くなってきたので、ぬくぬくのお布団に入って田嶋屋様から借りた『鏡の中は日曜日』を読んでいた。

まさかそんな大変な事が露天風呂で起こっているとも知らずに……

――― 続く (それにしても自分達の事を“美人姉妹”といけしゃあしゃあと言うのも恥ずかしいなぁ。ネタでなかったら誰が言うもんか)




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