立ち塞がる難関を越え彼らは伝説になる!
衝撃の真相!……この冬、全てのRPGを超えて。


 翌朝。二晩つづけて4人面子のゲームに興じ、さすがにグロッキーになっている田嶋屋様と和佐野様を起こして朝食をとる。

雪「ご飯終わったらもう一回お風呂行ってこよう」
田嶋屋「俺らも行こうかな。昨日の夜は落ち着いて入れなかったし」
雪「?」
和佐野「夜中に露天風呂に行ったやろ。風呂に潜って柵越えた」
田嶋屋「そう、俺ら女風呂のほうに入ったよ」
和佐野「もう、物音するたびビビリまくりよ!」
田嶋屋「てゆーか男風呂から音がしてもびびってたしね」
雪「あははははー」

 いえね。
 田嶋屋様と和佐野様とは何度も旅行してるし。
 温泉だって何回か一緒に行ったことがあるんですよ。
 だから彼らが紳士だってことくらい十分承知してるんです。
 温泉からあがった後によく田嶋屋様が
「和佐野くん、ヤメロって言ってるのに女湯の壁越えようとするんだよー」
 と言っていましたが、それが冗談だってことくらい知っています。
 その振りを受けて、和佐野様が
「とかなんとか言いながら、田嶋屋は俺を踏み台にしてた!」
 と返すのもネタだって分かっています。
 だからね。思ってもみなかった。

まさか本当に女湯に入っていたなんて!!!

 チェックアウト時に改めて「ホントに女湯に入ってたの?」と聞いたら、「おう、マジでマジで」と二人とも返すんですよ。「またまた〜」とか言おうとしたら


目ぇマジでやんの。


 あんたたちね。
 一応内湯にsummerが入っていることは分かってたんだよね?
 彼女が露天風呂に突然下りてきたらどうするつもりだったの?
 それ以前に、summer以外のお客さんが入って来る可能性だってあるわけだし。
 他の女性客は全て中年女性である事は、夕食中にすでにチェック済みでしょ?

 旅の終わりにとんだ衝撃の真相を知ってしまったのですが、和佐野様は旅館の外観を見回し、更にこう言いました。

「後学のために聞いておきたいんやけど、あの新館って露天風呂の真上やろ?」

………聞いてどうする。そりゃ当然後学のためだわな。

(彼らの名誉の為に言っておきましょう。このお話はノンフィクションです)


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