愛しい


永遠が欲しい

唇に触れることで 言葉よりも確かに想いが流れ込むのであれば
呼吸が止まるまで くちづけをしていよう
それこそ 永遠に



生まれて 生きて 死んでゆく
人にはただそれだけの時間しか許されていないのに
どうやって これ程の想いを 捧げられるだろう

いとしいひと

この腕に抱きしめたあなたは
世界と同じ重さ
奇跡と同じ存在

世界を支えるのに 自分の腕は細すぎる
奇跡を見つめるのに 自分の目は暗すぎる
そして かなしいかな

永遠の時間をもってしても 

自分の唇は 自分の感情すら 語り尽くせない

どれほど
抱き締めて 見つめて くちづけをしても
このいとしさには 届かない 



永遠が欲しい

それだけの時間 共に在りたい
叶わない願いを
圧倒的な幸福の中に芽生える絶望を
この刹那の一刻
あなたと諸共に抱き締める


生まれてきてよかった
そして このまま
死んでもいい




いとしい は かなしい




「愛しい」と書いて古語で「かなしい」と読むと知った時、
昔の人は言葉使いが的確だなぁと感じ入りました。
愛しいという感情は哀しい。(あ、音で読んでも同じだ)
そういうニュアンスを的確に書いてみたいです。
的確じゃないものがニュアンスなんだけど……うーむ。

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