◆フラメンコの発展◆


  カンテと手拍子のパルマ(palmas)で始まったフラメンコは、今から200年ほど前に現在のような形がほぼ整ったと考えられています。カンテが発生した後、かなりたってから伴奏楽器としてギター(guitarra)が用いられるようになり、ソロとしても発展してトーケ・フラメンコ(topue flamenco)が確立。踊りのほうも、最初は素足だったものが靴を履いて踊られるようになり、靴音サパテアード(zapateado)が舞踊テクニックの重要な要素となってバイレ・フラメンコ(baile flamenco)も盛んになりました。

 カンテ、バイレ、トーケの順に完成されていったフラメンコは、これら三位一体となったスタイルが整い、19世紀後半から表舞台に立つようになってきました。最初は[カフェ・カンタンテ]と呼ばれるショーが楽しめる飲食娯楽施設で、フラメンコの大衆化が進みスペイン国外へも評判が広まりました。それと同時に、本格的な深いフラメンコを愛する金持ちの旦那衆たちが、お気に入りのアーティストを招いて自分たちだけのための夜の宴フエルガ(juerga)を開く、という独特の形態のショーも愛されてきました。
 20世紀にはいると、カフェ・カンタンテが衰退するのとは反対にフラメンコの劇場公演が多く行われ、海外ツアーを行う舞踊団が登場するなどバイレの発展が著しく、その幅は非常に拡がっています。

 近年でもスペインにおけるフラメンコの中心はカンテですが、アントニオ・ガデス、クリスティーナ・オヨス、ホアキン・コルテスに見られる大掛かりな舞踊団の公演、また、パコ・デ・ルシア・セクステットのようにカホン(cajon)と呼ばれる箱型の打楽器やエレクトリック・ベースを取り入れ、ジャズの影響を多大に受けたギター中心のステージが、舞台芸術として世界的に高い評価を得ています。




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