単行本
IN 2009年(平成21年)5月 集英社 |
『魂を凍らせる、#作家の鈴木タマキは、緑川未来男が書いた「無垢人」の主人公○子を主人公に小説を書こうとしていた。そのため彼女の正体を知ろうと様々な人に会うが真相は一向に判らない。タマキ自身の恋愛が絡み合い、そして「無垢人」が入れ子の様に組み込まれており、事実と虚構の狭間でストーリーは展開する…。 相変わらずすごい筆力で一気に読ませてしまう。「無垢人」の現実感などはすごい。本当に緑川未来男という作家が書いた小説だと思ってしまった。「小説すばる」に2006年11月号〜2008年5月号に掲載された同名小説の単行本化である。 |
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女神記 2008年(平成20年)11月 角川書店 |
『遥か南の海蛇の島、巫女の家に生まれた二人の姉妹。姉は大巫女を継ぎ、島のために祈り続けた。妹は与えられた運命に逆らい、島の掟を自ら破った。16歳で死んだ妹は、地下神殿で1人の女神と出逢う。−私はナザナミ、黄泉の国の女神です。 #世界32カ国共同プロジェクト 「新・世界の神話」第5弾。 柔らかな頬以来9年ぶりの書き下ろしである。 イザナキとイザナミ神話をベースにした、カミクゥとナミマナの姉妹の物語。おもしろい。 それにしても、どうしたらこうした物語が生まれるのでしょうか。 '09第19回紫式部文学賞受賞作 |
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東京島 2008年(平成20年)5月 新潮社 |
『あたしは必ず#第44回谷崎潤一郎賞受賞作 |
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メタボラ METABOLA 2007年(平成19年)5月 朝日新聞社 |
『破壊されつくした#「朝日新聞」2005年11月28日〜2006年12月21日に連載された同名小説の単行本化です。 |
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アンボス・ムンドス 2005年(平成17年)10月 文藝春秋 |
『一日前の地球の裏側で、#直木賞受賞後第一作’99年10月〜05年6月までの短編集。 「植林」「ルビー」「怪物たちの夜会」「愛ランド」「浮島の森」「毒童」「アンボス・ムンドス」の7編が収録されています。 |
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冒険の国 2005年(平成17年)9月 新潮文庫 |
『 江戸川乱歩賞を受賞#第12回「すばる文学賞」最終候補作 |
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2005.4 |
魂萌え! 2005年(平成17年)4月 毎日新聞社 2006年(平成18年)12月 新潮文庫 |
『とことん行きなさい。!#毎日新聞連載(2004.1.5〜2004.12.28)の単行本化 第5回婦人公論文芸賞受賞作。 |
2005.1 |
白蛇教異端審問 2005年(平成17年)1月 文藝春秋 |
『世間のリフジンと闘い続けるケンカ・キリノの一線を超えたエッセイ集』 (帯より) #初のエッセイ集。 りゅうは、「天使の書評」を読むために国会図書館でコピーを手に入れたりしたものであるが、エッセイや書評・映画評にショートストーリーと内容テンコモリ。実に嬉しい内容である。「『OUT』という名の運命」、「わが心の町 札幌」、「中国厠事情」などは今読み直しても感動的である。小説も上手いがエッセイも上手い。桐野さんのお人柄がよく出ていて、感無量である。 ただちょっと残念なのは、「犬とお散歩」や「あと三日と彼女は言った」などのエッセイや、シネマチャートの映画評が載らなかったことである。次のエッセイ集を首を長くして待っております。 |
2004.11 |
I'm sorry mama. 2004年(平成16年)11月 集英社 |
『かつておんなであった怪物たちへ、そして、 #「小説すばる」連載(2003.5〜2004.5)の単行本化。 #毎日新聞2004.12.26付書評で大岡玲(あきら)さんは、「悪を主人公に蘇る妖しい民話世界」のタイトルを付しこう表現しています。 「しかし、同時に気づくのは、この小説がきわめてファンタスティックな匂いを持っていることだ。これまでの桐野作品にもしばしば香っていて、前作『残虐記』でも顕著だった匂いが、完全に全体を覆っている。それはなにかといえば、『アイム ソーリー ママ』がまるで民話のように感じられる、ということなのだ。」 |
2004.2 |
残虐紀 2004年(平成16年)2月 新潮社 |
『誘拐。監禁。謎の一年間。#第17回柴田練三郎賞受賞作。 『週刊文春』2004ミステリーベスト10 第6位。 「このミステリーがすごい!」05年度第24位。 「週刊アスキー」連載(2002.2.から2002.6)作品の単行本化。 連載時のタイトルは「アガルタ」。改題され、加筆修正されています。 |
グロテスク 2003年(平成15年)6月 文藝春秋 2006年(平成18年)9月 文春文庫 |
『光り輝く、夜のあたしを見てくれ。 #「週刊文春」連載(2001.2〜2002.9)作品の単行本化。 第31回泉鏡花文学賞受賞作。 「このミステリーがすごい!」04年度第5位。『週刊文春』 03年傑作ミステリー第3位。 |
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リアルワールド 2003年(平成15年)2月 集英社 2006年(平成18年)2月 集英社文庫 |
『ねえ、取り返しのつかないことって #小説すばる連載(2000.9〜2002.6)作品の単行本化。 |
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ダーク 2002年(平成14年)10月 講談社 2006年(平成18年)6月 講談社文庫 |
『40歳になったら死のうと思っている。#1999年4月「IN☆POKET」連載開始から3年半。最終章を加筆しての、待望のミロシリーズ第5弾。 |
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ファイヤーボール・ブルース2 2001年(平成13年)8月 文春文庫 |
『怒れよ#「入門志願」「脅迫」「リングネーム」「判定」「嫉妬」「グッドバイ」「近田によるあとがき」収録。「近田によるあとがき」は感涙ものです。シリーズ化を期待していたのに、完結篇とは残念です。 次回作を首を長くして待っております。 |
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玉蘭 2001年(平成13年)3月 朝日新聞社 2004年(平成16年)2月 朝日文庫 2005年(平成17年)6月 文春文庫 |
『東京戦争に敗れた女は、世界の果てにたどり着いた。 #直木賞受賞前後、小説トリッパーに連載された作品の単行本化。 |
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光源 2000年(平成12年)9月 文藝春秋 2003年(平成15年)10月 文春文庫 |
『柔らかな頬』から二年。「狂乱」を求めて、光を発し続ける男女を鮮烈に描く。 #オール読物に連載された作品の単行本化。 桐野さん自身「ミステリーでない」と公言している作品で、「ポートレート24」という映画の撮影現場を舞台に、そこに集まった様々な男女の人生と撮影をめぐる確執・葛藤・軋轢、映画作りの情熱と狂気を描ききっています。かってシナリオライターを目指し、映画時評も書いていた映画好きの桐野さんならではの作品です。 「自分で書いた登場人物達にとても魅了されました。不思議な体験です。」by桐野夏生 |
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ローズガーデン 2000年(平成12年)6月 講談社 2003年(平成15年)6月 講談社文庫 |
「ポップ(通俗)でダーク(濃い)なミロの世界。」(単行本帯より)#村野ミロシリーズの短編集で、「ローズガーデン」「漂う魂」「独りにしないで」「愛のトンネル」の4編を収録。 唯一の書き下ろし「ローズガーデン」は、ミロの夫・博夫が主人公で、ミロとの出会いを語る物語である。ただし、博夫はミロの浮気を疑って自殺したことになっているが(「顔に降りかかる雨」)、ここでは語られていない。続編が出ることを期待しています。 いくつかのミステリー集に掲載された「独りにしないで」がミロシリーズの雰囲気を出しているようです。 |
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柔らかな頬 1999年(平成11年)4月 講談社 2004年(平成16年)12月 文春文庫 |
「「現代の神隠し」と言われた謎の別荘幼児失踪事件。#第121回直木賞受賞作。 「このミステリーがすごい!」00年度第5位。 緻密な描写で描かれ、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまう。特にカスミと内海の人物造形はすばらしい。 ミステリィというより、 ミステリィの形をとった小説。作品全体の出来としては、「OUT」より完成されているのではないでしょうか。 「桐野は決してあなたを裏切らない by桐野夏生」というコピーの通り、あなたを虜にする傑作である。 |
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ジオラマ 1998年(平成10年)11月 新潮社 |
「マンションの真下に住む赤い髪の女。銀行員の自分とはまったく別世界の人間だと思っていたのに・・・・・。夜はウリをやるOL、偽装結婚してしまったゲイのサラリーマン、みな自分なりに普通の人生を歩んでいたはずの人たち、その平凡な日々に潜む闇。日常の断片が少しずつ異常な方向にずれていく恐怖感が、濃厚に立ちこめる短編群。」(「ジオラマ」カバーより)#「デッドガール」「六月の花嫁」「蜘蛛の巣」「井戸川さんについて」「捩じれた天国」「黒い犬」「蛇つかい」「ジオラマ」「夜の砂」収録。 人の心の表と裏。マンションの天井と床。理性や平凡な生活と裏腹の異常。 人間の心や日常の生活の揺れをクールに描いた短編集。 個人的には、「ジオラマ」「蜘蛛の巣」「六月の花嫁」などが好きだなぁ。 |
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錆びる心 1997年(平成9年)11月 文藝春秋 2000年(平成12年)11月 文春文庫 |
「劇作家にファンレターを送りつづける生物教師。十年間耐え忍んだ夫との生活を捨て家政婦になった主婦。魂の孤独を鋭く抉る傑作集。」(「ファィヤーボール・ブルース」文庫本帯より)#「虫卵の配列」「羊歯の庭」「ジェイソン」「月下の楽園」「ネオン」「錆びる心」収録 平凡な人誰もが持つちょっとした心の歪み、癖。譲れない部分を日常生活に密かに入れようとした時の、心の痛み、一瞬の戸惑いを描いた短編集。 ミステリィ的な解決やドンデン返し、トラップを期待する必要はない。心のひだがリアルに描いてあり、まさに錆びていく心の手触りが分かるようである。 個人的には、「虫卵の配列」「羊歯の庭」「月下の楽園」「ネオン」「錆びる心」などよく出来ていると思う。粒ぞろいの短編集である。 |
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OUTアウト 1997年(平成9年)7月 講談社 2002年(平成14年)6月 講談社文庫 2003年(平成15年)5月 英文版 講談社インターナショナル |
#平凡なパート主婦が、些細なきっかけで常識的な日常から文字どおりOUTしてしまう強烈なクライム・ノベル。閉塞した日常からとうとう夫を殺してしまった主婦と彼女を助けようとするパート仲間たち。殺人事件として警察が登場し、警察と主婦たちの知恵比べと思いきや、予想もしない後半の展開・・・・。 ヨシエ、邦子、弥生といったサブキャラクターが見事に描きわけられ、特に主人公・香取雅子の強烈な存在感が読むものを圧倒する。 1998年の日本推理作家協会賞受賞作。「このミステリーがすごい!」98年度第1位。『週刊文春』 97年傑作ミステリー第2位。桐野夏生のブレイク作である。 尚、平成9年下期直木賞候補作になったが、惜しくも賞は逃している。選考経過を読むと、ほとんどの選考委員の方が、前半の人物描写部分までは絶賛されている。佐竹登場以降が評価されなかったようである。(選考経過は、「オール讀物」1998年3月号に発表されています) |
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(文春文庫) |
水の眠り 灰の夢 1995年(平成7年)10月 文藝春秋 1998年(平成10年)10月 文春文庫 |
「昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆破魔・草加次郎事件を取材するうちに、一人の女子高生の殺人事件の容疑者に。東京オリンピック前夜の高度成長期を駆け抜ける激動の東京を舞台に、村野の執念が追いつめたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描く傑作ミステリー。」(文庫版カバーより) #ミロの父、村野善三の若き日を描いたミステリー。ミステリーの出来も良いが、爆破事件を追う雑誌記者と魅力的な女性との恋や、60年代の東京の雰囲気も実に上手く描かれていて引き込まれる。男性を主役にしたこの作品でも桐野さんのストーリーテラーとしての語り口は冴えている。「執念の追跡 そして運命の恋 ミロシリーズでは一番の出来ではないでしょうか。 ミロの母親・大竹早重も凛としていて、この母にしてミロありと思えてきます。 尚、文庫本には、元本にあったプロローグが削られていて、本当に60年代にタイム・トリップしたような印象を与えています。 |
(文春文庫) |
ファイヤーボール・ブルース 1995年(平成7年)1月 集英社 1998年(平成9年)5月 文春文庫 |
「「ファィアボール」と呼ばれる女子プロレス界きっての強者・火渡抄子といまだ一勝もできない付き人の近田は、外人選手の失踪事件に巻き込まれる。新人のリンチ事件、事務所の独立問題・・・・・トラブル続出の中、後楽園ホールの試合が近づいてくる。女子プロレス界に渦巻く陰謀と女の荒ぶる魂を描く長編ミステリー。」(文庫版カバーより) #本当に面白い! 読みながら笑ってしまう、桐野さんでは珍しいユーモア系ミステリー。火渡に憧れて女子プロレスに入った元信金OL近田を語りべとする軽いミステリーだが、近田のキャラクターがとっても親しみやすく、すぐに物語にひき込まれてしまう。隠れた傑作と言って良い極上のミステリー。 主人公の火渡、近田も魅力的だが、美人レスラーの与謝野ミチルもとても魅力的に描かれている。こういう作品も書いてしまう、まさに桐野さんの力量を示す一冊。 ぜひ、シリーズ化して頂きたいです。 |
(講談社文庫) |
天使に見捨てられた夜 1994年(平成6年)6月 講談社 1997年(平成9年)6月 講談社文庫 |
#ミロシリーズ第二弾。夫に自殺され、父の探偵業を継いでいるミロ。幼い頃のトラウマからわがままで嘘つき、AVに出演するリナ。小さな出版社を主宰する傍ら、身銭を切って人権保護活動を行い、世に出ようとする渡辺。次期社長夫人で料理研究家としても有名で、有能かつ美しい牧子。これらの女性の生きたかを通して、ハードな世界で生きて行かなければならない女性たちの弱さ・哀しさ・強さ・したたかさを見事に描ききった秀作。ストーリーも最後までしっかり書き込まれており、桐野さんの代表作と言って良いでしょう。「失踪したAV女優・一色リナの捜索依頼を私立探偵・村野ミロに持ち込んだのは、フェミニズム系の出版社を経営する渡辺房江。ミロの父善三と親しい多和田弁護士を通じてだった。やがて明らかにされていくリナのくらい過去。都会の闇にうごめく欲望と野望を乾いた感性で描く、女流ハードボイルドの長編力作!」(文庫版カバーより) りゅうが桐野夏生の虜になった、会心の一冊です。 |
(講談社文庫) |
顔に降りかかる雨 1993年(平成5年)9月 講談社 1996年(平成8年)7月 講談社文庫 |
「親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が、一億円を持って消えた。大金を預けた成瀬時男は、暴力団上層部につながる暗い過去を持っている。あらぬ疑いを受けた私(村野ミロ)は、成瀬と協力して解明に乗り出す。二転三転する事件の真相は?女流ハードボイルド作家誕生の’93年度江戸川乱歩賞受賞作!」(文庫版カバーより)#友人の失踪事件に巻き込まれ、父の探偵稼業を継ぐかどうか迷っている主人公ミロ・32歳。結婚歴があるが子供はない。広告代理店に勤めていたが、夫に自殺され無為の暮らしをしている・・・。状況設定、ストーリー展開もさることながら、なんといってもミロの魅力が一杯である。あなたはミロの魅力に取りつかれるだろう。 『週刊文春』 93年傑作ミステリー国内部門第2位でもある。 元本には、コマ劇場前の桐野さんの若き日のお姿?や「著者の言葉」があって、お買い得? |
真昼のレイン 1986年(昭和61年)7月 サンリオ ニュー ロマンス |
「北園冬子は、二十六歳、#典型的なロマンス小説ですけど、恋の行方にやきもきしながら、一気に読んでしまいました。ちょっと尻軽なのには閉口しますが、冬子の気持ちになりきってしまいました。上手いなぁ。 美人で、才能があって、若い。こんな素敵な女性に一度会ってみたいものです。 |
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熱い水のような砂 1986年(昭和61年)2月 サンリオ ニュー ロマンス |
「いい仕事をして有名になること。 #いゃー砂漠に行って見たくなりました。恋に仕事に冒険。あま〜い恋愛ものだけど、とっても面白いです。砂漠の中の冒険と恋は、ありふれたテーマですけど、古い感じはまったくしません。厳しい砂漠の自然のなか、杳子(ようこ)の恋のゆくえは・・・。日本、イギリス、サハラ砂漠を舞台に、思いもしないストーリーが展開します。ロマンス小説での桐野さんの代表作でしょう。 |
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愛のゆくえ 1984年(昭和59年)12月 サンリオ ニュー ロマンス ロマンス傑作集[W] |
「上野の美大で油絵の勉強をしているサキは、友人の怪我がきっかけで知り合った高見という32歳の脳外科医に、心惹かれた。#第2回サンリオロマンス賞佳作入選作で、桐野さんのデビュー作。 第2回サンリオロマンス賞佳作は5作品あり、ロマンス傑作選として5冊セットで発売された。読者アンケートでは、桐野さんの作品が一番の支持を受けたようである。なお、サンリオニューロマンスは現在絶版となっています。 |