落としゲーに見るジェンダー



僕は非常に反射神経が鈍い。しかも指先が不器用に出来ている。ということ
で反応性を問われるゲームが好きではない。おまけに頭の回転も遅い。ゆえに
瞬間の判断力を問われるゲームが好きではない。こんな自分が出来るゲーム…
それは「落としゲー」である。

テトリスやぷよぷよのような「落ちゲー」ではない。アンジェリークやときめ
きメモリアルのような、女の子、男の子を「落とす」ゲームである。
ということで、女の子向け落としゲーの代表である「アンジェリークSpecial2」
と、男の子向け落としゲー「ときめきメモリアル2」をやってみた。
ところがやっていて少々陰鬱な気分になってきた。

「アンジェリーク」は宇宙の女王候補になった主人公の女の子(自分)が、
ライバルと競いながら宇宙を育て、女王になるというのが目的である。宇宙育
成の手伝いをしてくれるかっこいい守護聖その他のにーさん達と恋も育てよう
という別目的もあるゲームだ(これが目的か?)。一方「ときメモ2」は高校に
入学した主人公の男の子が(自分)3年間で意中の女の子から告白を受ける
ために、自分を磨き、彼女にアプローチするゲームである。

さて、この2つは似てるようで色々違いがある。例えば、「アンジェリーク」
は自分を好きになってもらって、宇宙に彼らの力を貢いでもらうが、「ときメモ
2」の方は特に彼女に貢いでもらうことはない(誕生日とバレンタインデイ
くらいのもの)所などがそうだ。しかし、絶対的に違う所がある。

「アンジェリーク」は恋愛エンディングの場合女王になれない。

「ときメモ2」は、大学に入ったり、就職したり、と自分の道を選ぶと共に意
中の女の子を落とすことが出来る。しかし「アンジェリーク」は意中の男の子
を落とすと、自動的に女王という仕事が出来なくなってしまうのだ。

ここでふと、陰鬱な気分になる。社会学者:宮台真司の「世紀末の作法」の一文
を思い出すからだ。
 男の子たちは何も諦めないで「そのまんま」おとなになれるのに、女の子たち
は「本当にたくさん断念して」大人になる。

世界観の違いもあると思うが、「アンジェリーク」は根底に女の子の経験する
「断念」というものを含んでいる気がする。そしてこのゲームをした女の子は
無意識に「断念」を学習する。

なんだかそんなジェンダー問題が見え隠れしてならないのだが、考え過ぎだろか?


+BACK+ *HOME*