なんとなく、長野県知事



   注目の長野県知事選は最有力候補の前副知事、池田典隆氏に11万票の差をつけて、作家の田中康夫氏が当選しました。田中康夫です。内田康夫ではありません。似てるね。作品は似てないけど。  ということで、今回の呟きは「県知事選挙デビュー日記」!

 激しい選挙戦が繰り広げられたらしいが、なにぶん長野県広すぎ。私の住んでる山の中には選挙カーの声すら届かなかった。
 当然村民である僕も、パン屋の裏の公民館に投票にいった。BGMにポップミュージック(おそらく有線放送)の流れる投票所……新時代の幕開けを感じるぜよ。
 夜になって、開票率0%で田中氏当確の速報がテロップで表示される。……新時代の幕開けを、ってなんでやねん!
 まだ全然開票してないのになんで当選確実なんじゃー!!
 視聴率調査でも葉面積測定でも、0%ってのはないやろー!!
 ……と、統計調査の偉大さ(なにしろ見なくてもわかる)を感じながら時間が過ぎてゆく。その後、開票率30%程度で田中康夫氏喜びの会見中継が始まる。

――― RRRRR,RRRRR,RRRRR
 電話が鳴った。相手はとらなくてもわかる。

「もしもしぃ、アンタ田中康夫に入れたやろ!」

 だー!親!!ニッポンは秘密選挙やって何回言ったら解るんじゃー!
 選挙のたびに『アンタ誰に入れたぁ?』ってゆー電話かけてくるなぁー!
 適当に富山からの電話をかわしながら、田中康夫事務所からの中継を見る。

 本日の田中康夫氏のコーディネートはグレーのスーツに淡い水色のワイシャツ、シルバーのやや細身のネクタイ。

くそぅ、作家め (←スーツフェチには堪らないらしい)

   万歳三唱の代わりにクラッカー。日本酒の樽をかち割ったりせずに、フルートグラスの中にシャンパン。スーツの胸元には赤い薔薇。

くそぅ、作家めぇ。 (←アーバンで小洒落た感じが鼻につくらしい)

 そしてにこやかにインタビューに答える田中康夫氏。
「これから長野県の皆さんが、しなやかに胸を張り、自信と勇気を……云々」

くそぅ、作家めぇぇ。 (←自分にない表現をさらっと言ったことが悔しいらしい)

 翌日、朝のワイドショーでピーコさんが「康夫ちゃんおめでとう」コールをしていた。そこで知ったのだが、あのシャンパンはクリスタルというべらぼーに高くばか美味いシャンパンなんだそうだ。彼の代表作“なんとなく、クリスタル”と透明な政治を掛けているようだ。

くそぅ、作家めぇぇぇ。
(↑小技の利かせ方を、一瞬、巧い!と思ってしまったらしい)



+BACK+ *HOME*