閑散としている、という言葉はこの場合控えめだろう。
「……では、もう一度確認しますが、二月十九日の午後三時頃には久我下山にいたんですね?」 私はあの日ののどかな田舎道の風景を思い出す。雑木林が遠くに連なり、真っ青な空に柔らかな霞みをつくっていた。畑で働いていた老人が山と積んだ白菜の傍らで午後の一服。目的地の山本さん家までは、歩いてあと二十分といったところだった。
「電話をかけてから地主の山本さんの家に行って、それから六時十分の電車に乗って会社には戻らずに直帰しました。なにしろ東京に着く頃には終電になっていますからね。埼玉の自宅の方が近いんですよ」 西の山にわずかに日光の端がかかり始めていた。冬の日は短い。特にこんな山の中では陽光が射し込む時間も少ないのだろう。私は歩きながら腕時計を見た。針は三時二十分までもう少しといった場所に位置している。
「……秋葉原さん。会社に電話をしたのは駅に着いてからじゃないんでしょう?」 私は、昔ながらの煙管で煙草をふかす老人との距離を目で測った。随分と遠いようだ。この距離ならきっと大丈夫。何しろこんな所に人がいるなんて思わなかったからな。まあ、気付かれることもあるまい。
「何を馬鹿な。あんな田舎にそうそう電話はありませんよ。駅前に一つだけでしょう?」 「目撃者がいるんですよ。田舎のおじいさんだと思って侮っていたんでしょうけどね。……大きな黒い鞄を小脇に抱えて、独り言を喋っている男は、不審人物としてよーく憶えてくれていましたよ」 |
2月19日、3時17分…1987年
うぇいさー、リクエスト:携帯初めて物語でしたー。
えー? 途中ですぐわかったー? もっとひねろー?
未だに携帯電話を使いこなせない僕が、現代のケータイで
ひねった話が書ける訳ないんじゃー!
ということで、10101デジタルHITを得た田嶋屋様には
物足りないことと存じますが……お許しをぉぉ。
キリ番ゲッターの田嶋屋様に捧ぐ! 田嶋屋様のHPへ→ GO!